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珍渦虫の正体と特徴・繁殖の仕方・紫色の靴下と呼ばれる理由

更新日:2020年08月28日

世界を広いと感じるときは、自分の知識の底を知った時です。ヨーロッパの海底に珍渦虫(ちんかちゅう、ちんうずむし)という、謎の生物がいます。この珍渦虫は脳も生殖器持たない奇妙な生体の持ち主で、近年その正体が解明されたと言われています。

珍渦虫の正体と特徴・繁殖の仕方・紫色の靴下と呼ばれる理由

珍渦虫は無腸動物の近縁

この謎の生物・珍渦虫をどこに分類しようかと、いろいろ研究が進められ、DNAを調べてみると珍渦虫は独自グループに分類すべきだと言う意見が出てきました。もう、珍渦虫動物門で定義しようではないかと言います。しかし、さらに有力な分類分けができるという説が出てきました。

珍渦虫を無腸動物門にカテゴライズできる。と言いう説が出てきました。珍渦虫は無腸動物と近縁だと主張が出ました。しかし、この無腸動物も分類上どこに属していいのか、位置が定かではない、不明確な生物です。珍渦虫も無腸動物も、分類上の位置が不明確というお仲間というのは納得できるでしょう。

珍渦虫と無腸動物の関係

珍渦虫と無腸動物は同じ仲間という考えは以前からあり、一時期は無腸動物は渦虫と同じ分類、扁形門ではないかと考えられていました。これは外見上が似ていたためですが、外見が似ていても違うと指摘され、独自グループの無腸動物門という独立した分類になりました。

2016年の研究結果によると、珍渦虫と無腸動物と姉妹関係にあると示されたとあり、珍渦虫は珍無腸動物門という動物門の構成を提唱しました。

ネイチャーに掲載された珍渦虫の概要と位置づけ

分類上の位置がやっと明確になった珍渦虫ですが、この生物は動物の進化の初期段階に位置する生物だと言う説が出ています。要するに、目がないささみをぺったんこにしたような容姿をしている生物が、我々人間の始まりだと言います。本当に単純な生命から我々人間が始まったことになります。

珍渦虫は何にでもなれる

この動物の進化の初期段階説は、米国とオーストラリアの研究チームがネイチャー紙に発表された説です。珍渦虫が生物の進化の初期段階にあることには違いないのですが、補足すると、進化の枝分かれ部分に位置する生物だと言われてます。

進化の途中にいる生物であり、つまり、この珍渦虫は何にでもなれる生物となります。

単純な生物

先述しましたが、珍渦虫は一度進化して退化したという説がありました。今回のネイチャーに発表された論文によりますと、珍渦虫は元から単純な生き物だという結論がでました。

しかし、元からシンプルな作りをしている珍渦虫ですが、生物分類上、ヒトが含まれる脊索動物門に比較的近い位置にいると言われています。よって、寒い海底にいる珍渦虫の中にはヒトに進化するものもいるのでしょう。

単純な生物の不思議な体

この珍渦虫は口があるが、肛門がない。口があるから何かしらものを食べていることはわかっています。ただ、珍渦虫が一体何を食べて、生命活動を維持しているのかはわかっていません。

二枚貝の仲間説の時に、珍渦虫のDNAに二枚貝の情報が混ざったことがありましたが、これは珍渦虫が食べたことによるものという可能性があるとも言われています。よって、二枚貝系の生物を食べている=肉食か雑食の生物だとはわかります。

口に続く腸もあるのですが、肛門がないので、排泄はどのように行っているのか不思議です。珍渦虫は口が肛門の役目を担っており、口と肛門を兼用するという生物は結構います。クラゲやサンゴやイソギンチャクが、珍渦虫同じような食べ方、排泄をします。このような生物たちをひとまとめにして、腔腸動物と言われています。

珍渦虫の繁殖の仕方

生殖器も持たない珍渦虫が一体どのように繁殖しているのか気になります。はっきり言って、まだよくわかっていません。元々卵で繁殖することはわかっていたのですが、その後どうやって成長するかははっきりしていませんでした。

そして、今でもはっきりとした繁殖方法がわかっていません。生殖器がないのに繁殖と言えば細胞分裂を行うのですが、卵を産むことはわかっています。しかし、生殖器もないのに卵を産みます。珍渦虫の繁殖方法は細胞分裂で増え、生殖器がないのに卵を産む(卵が産める?)という、奇妙な繁殖を行います。結局のところ、発生過程は謎のままです。

珍渦虫の奇妙な繁殖方法を報告したのは、筑波大学を始めとした国際研究チームで、筑波大学では繁殖方法だけではなく、世界初の珍渦虫の幼生の観察の成功しました。

珍渦虫の成長を解明した筑波大学の珍渦虫に関する研究内容

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初回公開日:2017年12月11日

記載されている内容は2017年12月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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