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ソメイヨシノの寿命・植替え・添え木した場合の寿命の変化

更新日:2020年08月28日

近年、桜の名所地がピンチに陥っている、という話を聞いたことはありませんか?その話の根拠はソメイヨシノが寿命を迎えていることにあります。千年以上生きている桜もあるのに、ソメイヨシノの寿命はそんなにも短いのでしょうか。今回はソメイヨシノの寿命について紹介します。

ソメイヨシノの寿命・植替え・添え木した場合の寿命の変化

桜のソメイヨシノの寿命

桜の代表的品種と言っても過言ではないほど多く植えられ、も高いソメイヨシノ。淡い色彩の花を鮮やかに咲かせ、潔く散っていく姿は、まさに春の風物詩と言えます。

その美しさと儚さが多くの人々に親しまれ、愛されてきたソメイヨシノですが、最近になって「寿命が迫っている」という話が出てきました。実際に公益法人日本花の会では、2009年度からソメイヨシノの苗木の販売を中止し、代替品種として花や開花時期がソメイヨシノに近い桜・ジンダイアケボノの苗木を配布し、植え替えを推奨しています。

果たして、ソメイヨシノの寿命が近いというのは本当のことなのでしょうか。今回はソメイヨシノの寿命についてご紹介します。

ソメイヨシノとは

ソメイヨシノは桜の園芸品種で、現在の観賞用の桜の代表的品種とされています。当初は江戸の染井村に住んでいた造園師や植木職人達によって育成され、桜の名所である奈良県の吉野山にちなみ「吉野」または「吉野桜」という名前で販売されていました。

しかし1900年に行われた調査で、ヤマザクラとは別の品種であることが判明します。この名称のままでは吉野山のヤマザクラと混同されてしまうため「ソメイヨシノ(染井吉野)」と命名されることになりました。

ソメイヨシノは長い間起源がわからなかったため、色々な起源説がありました。現在は遺伝子研究によって、エドヒガン系の桜と、日本固有種のオオシマザクラとの交配によって誕生した品種であることが判明しています。

ソメイヨシノが多く植えられた理由

桜は非常に歴史の古い花で、『万葉集』に歌の題材として登場しているほどです。そんな中、江戸末期に生まれたと言われているソメイヨシノは新参者だと言えます。そんなソメイヨシノが、なぜ桜の代表品種と呼ばれるまでに広まったのでしょうか。

ソメイヨシノが全国に広まったのは明治時代以降のこと。明治政府がソメイヨシノを植えるように推奨したとされています。明治維新以降、明治政府は江戸幕府時代から続いていた体制の排除を積極的に行っていました。桜の世界も例外ではなく、当時桜の名所に植えられていたヤマザクラを新しい品種であるソメイヨシノに植え替えさせたと言われています。

また、ソメイヨシノは花が美しく見栄えが良いので花見に適しています。おまけに成長が早いので、20年ほどで横幅が20mを越す大木になります。そのため短期間で桜の名所作りが可能です。このこともソメイヨシノが全国に急速に広まった理由とされています。

ソメイヨシノはクローン植物

ソメイヨシノはクローン植物だということをご存知でしょうか。ソメイヨシノは同じ品種同士での結実が難しく、自然に増えることができません。また、ソメイヨシノ以外の桜との交配は可能ですが、その種子から生まれる桜はソメイヨシノとは別の品種になってしまいます。

ゆえに、ソメイヨシノの優秀な性質を100%引き継いだ子孫を作るために、原木から接ぎ木や挿し木で増やす方法、つまりクローン増殖方法が用いられました。よって、全国各地に植えられているソメイヨシノは、遺伝子的には全て同一の植物です。

余談ですがソメイヨシノは、気象庁が桜の開花基準にしている桜でもあります。これはソメイヨシノが遺伝子的には全て同一の株であることから、開花に必要な条件がそろえば一斉に開花するからです。

クローンゆえの弱点

ソメイヨシノは病気に弱い性質を持っています。特に「サクラてんぐ巣病」という、菌類の感染が原因で発症する病気については他の桜よりも弱く、放置していると枯死してしまうこともあります。

しかもソメイヨシノは、並木や公園などのように集中して植樹されていることが多いので、1つの木が病気にかかると、あっという間に周囲の木々に広がってしまいます。遺伝子的には同一なので病気への耐性も同じだからです。また、ソメイヨシノはクローン植物のため、突然変異でも起こさない限り、新しい耐性を得ることはありません。

何よりも一番の問題は寿命です。遺伝子が同じなら寿命もほぼ同じ。植えられた時期が同じなら、寿命もほぼ同じ時期に迎えることになります。

植え替えした場合のソメイヨシノの寿命は短くなるのか

桜は非常にデリケートな植物です。枝が折れたり、下手に切ったりすると、そこから木材腐朽菌が入って枯れてしまいます。しかもソメイヨシノは、桜の中でも特に菌類による病気に弱い性質を持つ品種です。そのため、植え替え作業も適した時期に正しい方法で、木を傷めないように行う必要があります。

そして何よりも大切なのは、植え替える場所はソメイヨシノが好む環境条件がそろった土地であること。ソメイヨシノに限らず、植物が好む環境を整えて丁寧な作業を行うことが、植物を元気に育てる第一条件です。

問題なのは植え替え後

前にも触れたようにソメイヨシノは成長が早く、桜の中でも大きく成長する品種です。しかも若木の内から花をつけます。そのためソメイヨシノが多く植えられた場所は、短期間で桜の名所となります。この特性もあって、戦後の復興期から東京オリンピックの時期にかけて、全国各地で多くのソメイヨシノが植えられました。

しかし桜の名所となり、多くの花見客が訪れるようになると、問題となるのが「環境の悪化」です。マナーの悪い客によって枝や幹が傷つけられたり、ゴミの放置によって雑菌が繁殖したりすることによって、ソメイヨシノが負うダメージは決して小さくはありません。

その他にも、大気汚染や根元の舗装など、植えた後の環境の変化がソメイヨシノを弱らせるケースが多く存在します。これらのことがソメイヨシノの寿命を縮めているのではないか、という意見もあるほどです。

接ぎ木した場合のソメイヨシノの寿命

ソメイヨシノは自然繁殖が難しいため、接ぎ木で増やす方法がとられた桜です。適切な時期に正しい方法で行ったのなら、寿命に関しても問題ないのでは、と思われがちですが実はこんな問題があります。

接ぎ木とは増やしたい植物の一部を台木と呼ぶ植物体に挿し込み、融合させて苗木とする方法です。そしてソメイヨシノの台木には、マザクラ(アオハダザクラ)という品種の挿し苗が使用されることが多く、戦後全国各地に植栽されたソメイヨシノの台木も、ほとんどがマザクラの挿し苗だと言われています。

マザクラは成長が早く活着率も高いため、台木として使用されているのですが、病気に弱く寿命が短いという弱点があります。台木として使用されたマザクラも最初は根を張るのですが、やがて寿命を迎えて腐ってしまいます。そこから腐朽菌が繁殖してソメイヨシノの主幹を腐らせ、寿命を縮める原因となりました。

ソメイヨシノの寿命は短いのか

クローンであるため、ほとんどの株が同一の特性を持つソメイヨシノは、植樹された時期が同じならば、同じ時期に寿命を迎えます。また、病気や環境の悪化に負ける場合は、多くの株が同じような影響を受けてしまうという弱点もあります。

実際に21世紀に入ってからは、各地でソメイヨシノの樹勢の衰えが目立つようになりました。樹勢の衰えた木は枝の落下や倒木する場合があるため、安全面でも見過ごせません。現に2011年、東京都国立市で樹齢50年の桜が倒木して車2台を直撃する事故が発生しました。

そのため桜の名所として有名なところでも、傷んだ桜の診断や古木の伐採を行ったり、ソメイヨシノの代替品種・ジンダイアケボノへの植え替えを検討しています。

寿命60年説

初回公開日:2018年01月22日

記載されている内容は2018年01月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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